ホーム


<内容解説>



1.元気(気力/骨力)と笑顔を養う


→人物としてまず大事なことは「元気(気力・骨力)」があるということ。創造力・展開力・回復力が旺盛であること。

元気とは「気力」であり「骨力」である。

「気」とは心身一如の生命力・気迫であり、物事を創造していくエネルギーである。その元(もと)となり元(はじめ)となるものが「元気」。

従って、元気があるかないかが人物の一番基本的な要素となる。

熱でも光でも物理的な力でも、エネルギーが旺盛でなければ造化(創造変化)は溌刺としない。

私たちも根本のところにおいて活力・気力が旺盛であることが大切。

但し、良いことがあれば元気だが、病気になったり、仕事に失敗したりしたらへこたれるようでは話にならない。何があってもへこたれない。

不撓不屈の精神、気迫でなければならない。この精神力が「気力」であり、肉体的に言うと「骨力」である。元気とは気力と骨力を言う。

 



2.自反自得し、理想精神を養う


稚心を捨てて理想/志/目標を持つ

定期的に整理整頓。己を省みて、無駄を省く

気力は、目標の明確さに比例して大きくなる


→生命力、元気というものは創造力であるから、これが旺盛であれば精神的に発達し、必ず理想や志が生まれ、自らにして生きようとする目標を抱くようになる。

これが「志気」である。元気は志気と一致してくる。幼稚で甘えた心を捨てれば緊張感が生まれる。精神の緊張が無ければ志はない。

甘えた心を捨てるとは、棚上げすることなく自分と向き合い、資質を見極めて(自反自得)、自己を発揮していくことである。

人間はどんなに年を重ねても、あるいは成功すればする程、理想や志を高く持っていなければ人物とはいえない。

 



3.理想精神に基づく判断力を養う


仁義に基づいた功利を生み出す


→志気を養うことで志(理想精神)が磨かれてくると、その志に照らして物事を考えて省みるようになる。

人間は反省が生まれてくると、そこに義と利とを分かつようになる。義とは志気より生まれる決断であり、利とは欲望を言う。

「自分は何を成すべきか、為さざるべきか、いかに為すべきか」という識別・弁別が明らかになり、判断力が養われてくる(義利の弁)。

 



4.節操を養い、情欲を転換する


誘惑/脅威に動じない

 

志気を旺盛にして義を貫く。それを「節操」と言う。ほうっておけばバラバラになってしまうのを、如何にして締めくくるか、この締めくくりが「節」である。

節により、バラバラなものがまとまり、旋律(リズム)となって生命化する。つまり、物事を統一して生命的にすることが「節」である。

そこで、「義利の弁」は、それらを「節」によって束ね、万物を創造していく「実行力」となっていかなければならない。

 

節を操れるようになってくると、物事に動じなくなる。誘惑や脅威に対して動じなくなり、毅然として所信を実行する胆力が生じ、

観察力・判断力・実行力を備えたものとなる。

 



5.不撓不屈の実行力を養う(創造力・展開力)


怯めず臆せず勇敢に、無心で物事に当たる

恐怖と弱さを克服する。恐怖は心の状態であり妄想である。強い自分として振舞う。

→義理の弁別が明らかになると、知識は単なる知識ではなくなってくる。即ち、知識は、理想精神・創造力に照らして判断された「見識」となる。

従って「見識」は常に決断を伴うものである。そして決断させるものは知識ではなく「理想」である。理想があるから決断力が出てくる。

しかし、決断だけでは足りない。様々な利害・矛盾・議論の中にあって、どうしても実践しなければならないという実行力が必要になる。必要なのは実行力である。

 

言い換えれば、実行力があるというのは、自分の主体性が確立して自由を得ていることで、それだけ安定する。「中庸」から言えば、素行自得。

どんな艱難辛苦に直面しても構うことなく、自分の道を歩んでいく。新しい境地を自力で開拓していくという悠々たる気概が出てくる。

そうすると、その実行力の中には、自ずと風韻・風格というものが生まれる。

 

実行力というのは非常に強力であり、また危ういものである。それよりは、いい加減なところでまごまごしている方が楽なことも少なくない。

だから、現実を回避したり隠遁したりするような主義や思想も発達する。

 



6.造詣(専門技術/知識)を養う


優れた技量と広く深い知識を学ぶ


→修養のない人は、どんなに綺麗な容姿をしていても底が浅く、人物としての魅力に乏しい。

しかし、本来、人間は常に変化するものであり、その人の個性・才能・縁・環境等に従って、広く深く学び、優れた技量を会得していくことで、様々に化していく。

 



7.広く人と親しむ


信義/礼節/笑顔を重んじる

どれだけの人を「元気・笑顔」にできるか。また、元気や笑顔を受け取れるか。(1.へ循環する)


そして次第に、人間の潤い、深み、造詣(ある分野についての広く深い知識や理解、すぐれた技量)を経て、その人の本当の個性が出てくる。

その個性に徹することは普遍性に通じ、従って、どこに行っても尊重される。役に立つ。広く人と親しみ、元気と笑顔を渡し、また受け取りながら、己の成長や社会の興隆に貢献して、共に今を生きて未来を切り開いていく。それが「人物」である。

 



8.器量/風韻(風流余韻)/風格が生まれる


包容力/創造力/一貫性を育む


このように、人間が理想・目標を持ち、節操・見識・胆識等が備わってくると、そのに人間の大きさが生まれて来る。

人間の観察力・判断力がより優れ、様々な人や物事を受け入れて、処理していける力が増してくる。様々な現象や事実問題に徹し、

人間は人間らしく独特のものになってくる。

つまり、人間の「器」が次第にできてくる。

それは単なる器ではなく、どこまでも進歩・発展性を持ち、用途が限定されない創造力に満ちた器(道器)となる。

そこで、人間の器の大きさを器量・度量という。


人間がこのように洗練されて来ると、その人独特の風格が備わって来る。それは、人格の調和であるから、柔らかく和やかで、どこかリズミカル、音楽的になる。

これを風韻という。