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<ノート>

◇16. 雷地予(らいちよ)

前の「大有」を「謙」で受ければ、様々な能力や可能性の含蓄となり、これから生産活動を起こす予備力になる。
従って、「謙」のつぎは「雷地予」。

予…勢力もでき、人望も集まり、万事順調だから、「遊び、楽しむ」ことができる。それ故、誤って「怠るな」ことにもなる。これを「あらかじめ」よく考えて道理に従って行かなければならない。
→「遊び楽しむ」「怠るな」「あらかじめ」…<予の三義>。

同志を集め、勢力を大きくして、謙虚になり蓄積を経て豊かに。そして、いろんなもの(人)が付き従うようになる→「沢雷随」へ。

初6…初めに驕り楽しむくせあり。志は行き詰まる。
62…志操堅固にして怠惰逸楽を避けて努力邁進。
63…早く豪奢逸楽を悔いなければ、後悔ばかり。
94…自分より他人が有難がって自分を頼りにしてくる。
65…謙虚に。しかし志は変えず。
上6…結局、逸楽に目がくらむ。自分をかえなければならない。→上6変ずれば「火地晋」。地上に光明を放って進化する。





◇15. 地山謙(ちざんけん)

謙虚は大切。
「1. 乾為天」の5爻(下から5番目の爻)。ここがリーダーを象徴する。彼はイケイケドンドンの陽である。

彼が謙虚(陰)になって、権限を周囲に委譲し、時に第一線を後進に譲り、人財の育成等を行うようになると、卦は5爻のみ陰の「14. 火天大有(かてんたいゆう)」と変化する。同志を広く募った「13. 天火同人(てんかどうじん)」から、益々勢力が培養された卦。

→ここに一つのリーダー像(論)が生まれる。論語5-21にも「その愚や、及ぶべからず」として、バカ殿(陰)にはなかなかなれるものではないと伝えているように、
自分は一歩引き(陰)、他の5爻が全て陽というのは、自分より優れた人たちに囲まれ、彼等を適材適所にて活かすことになる。

→別のリーダー像(論)も生まれる。「火天大有」の錯卦、が「8. 水地比(すいちひ)」。5爻(リーダー)だけ陽で、他が全て陰というもの。
リーダーのカリスマ性(陽)に支えられた組織で、それを支える皆は堅実な人たち(陰)。
これは、規模が小さくて社歴の浅い組織によく見られる。
こういう組織は、皆が親しい一面もあるし、派閥争いもある。

で、ちなみに「水地比」の綜卦は「7. 地水師」。これは2爻のみが陽の卦だが、これは「グループ、軍隊、リーダー」を表す卦。
人々を率いるのに一貫して正しく進めば、優れたリーダーになることができる。

時に応じて求められるリーダー像(論)は異なる。が、大きな組織では「水地比」「地水師」よりも、「火天大有」のリーダー像が上手くいく。

→しかし、人間とは浅ましいもので、勢力が出てくるとワガママになり、傲慢になりやすい。
そこで「火天大有」を受けるに「謙」を以てすると易経は伝える→「15. 地山謙(ちざんけん)」。
人間ができてくれば謙虚でなくてはならない。勢力があればある程、当然謙遜にならなければならない。地中に山あり。実るほど頭を垂れる稲穂かな。
→謙遜・謙譲は、人間生活の本質。

そして、「地山謙」の上6が陽に変ずると、「52. 艮為山(ごんいざん)」…異変をよく処理するには、私心のない無欲の働きと、足るを知り、止(とど)まるを知るという落ち着いた叡智が必要。リーダーはその拠って立つところを放(はな)れて、あらぬ欲望・野心に駆られて軽挙妄動したりしない…という卦に変わる。

これは個人でも国家でも同じこと。

易経の面白さと恐ろしさ、少しは伝わるだろうか?笑





◇14. 火天大有(かてんたいゆう)

前の「天火同人」で人が集結する事によって、勢力が一段と大きくなる。個人では持ち得なかった勢力ができる。

この「火天大有」は、「天火同人」の綜卦になっている。
同人を持たずに大きな勢力や、それに基づく事業を行うのは無理な話。同人があって大有がある。

ただ、悪いやつが同人大有をやると、とんでもない事になる。
悪を防ぎ止め、善を挙げ用いて、道徳・理想主義でいく。

初9…驕り、怠惰、小人には交わらないよう勉強しておく。
92…大車に重荷を積んでいく(積中…端には積まない)。
93…<諸侯の位>小人は勢力を私欲のために使ってしまうが、天命を忘れるな。
94…<大臣>衆も集まる。謙虚、補佐、知恵。
65…誠から出て、上下の交わり美しく、安易自然でしかも犯すことのできない威厳がある。
上9…信を踏む。満ちても溢れない。謙遜。





◇13. 天火同人(てんかどうじん)

前の「天地否」までで個人の一つの結論を出して、ここから社会的に発展させる。

「天火同人」…同志の結集。階級を設けず、公平自由に、広く天下に人材を求める。
卦の面から見れば、外卦の「乾」は実行力に富み、内卦の「離」は知性の明を表す。62、95と正応し、大業を成すによい。
それだけに、人物選定は明確に。「目利き」でなければならない。

初9…門戸を開放して同志を迎え入れる。
62…親しいもの同士となり、上手くいかない。
93…野心からの遂行は望み通りにいかない。
94…覇権を狙うはダメ。則にかえる。
95…下剋上の企てに悩まされるが、62の賢者と心を合わせて行けば良い。
上9…功成って引退し悠々自適としつつも、志を失わない。





◇12. 天地否(てんちひ)

前の「地天泰」で泰平を迎えても、まだまだ驕りは生まれる。「泰」となって伸びると、理を外れて一旦はどうしても「否」に行く。

「天地否」…行き詰まりの卦。常道では良くない。正直者が損をするどころか、どんな目にあわされるか分からない。徳を控えめにして目立たぬように。

初6…小人は一人が行くと皆ぞろぞろついて行く。志を守れればよいのだが。
62…95に正応する。小人は従順。大人は理解されないが、争わずに進める。
63…差を包み、恥を忍んで事に当たらなければならない。
94…時運変じる。同志と幸福を得る。
95…大人、その徳をもって力を発揮するが、破滅の危機がある。
上9…否は結局これを打開しなければならない。大人に会って和順し、大事を成していく。
去って64となれば「風地観」。民衆が仰ぎ見るところとなるべきものである。





◇11. 地天泰(ちてんたい)

勇気を持って、冒険、難しいものも少しクリアして、「地天泰」の卦に行く。いわゆる大人の仲間入り。
→発展・発達の安全原則。果敢に様々な修養努力・経験を経て物事が分かり、落ち着いて内外ともに安定していく。

反物を断って衣服に縫い上げるように、素材を有用なものに仕上げること。
天地創造化成の働き(道)を、人間の有用なものに応用し、天地が造化したもの(義)に、人功を加えて、民衆の利便に供する。

初9…同志を率いていく。
92…度量・勇気を大きく持ち、疎遠なものも忘れない。
93…どんなに悩みがあっても、志節を変えず進む。
64…気軽に賢者に下り、貴人を誘う。
65…あくまでも謙虚に。
上6…いかに泰平でも衰退していく。警戒を忘れない。軍隊を動かしてはならない。

天と地が交わり、陰陽相和して万物が通じる象。また内が3陽で外が3陰だから、中は溌剌たる創造・生産・才能を持ち、外はさりげなく何も無いような形をとる。→泰然。
逆に、わずかなケチなものを外へ出そうとするのが次の「天地否」。
「地天泰」「天地否」は上経の結論の一段階。





◇10. 天沢履(てんたくり)

「風天小畜」が次第に実践性を伴ってくると、「天沢履」の卦となる。このころから新たな実践活動、陽に転じていく。

実践・実行の原理原則…虎の尾を踏め!勇気を持って冒険、難しい事に取り組む。

上卦「乾(剛)」に対し下卦「沢(柔)」。上下の分を明らかにして、相待って志を実践していく→履。
初9…素直に行う。
92…志・節を変えず、淡々と行く。
63…思慮が足りず、甘い考えで行くと喰われる。
94…反省し、勇気を持って遂行。
95…断固として決行。
上9…実践の究極の問題は、平生の行いがどんな応報になって現れるかを考察すること。運・不運も平生の行い次第。よい行いを繰り返す。

「志」…「心の之(ゆ)く」で、「士」は「之」が変化したものだから、どの方向に進んだとしても志はある。それをきちんと育てる。となると、自由主義や民主主義は、自律や克己、志が無いと、いい加減になりやすい。





◇9. 風天小畜(ふうてんしょうちく)

「師」「比」を経て、次第に進歩向上しながら、孤から集団にって社会を作っていくから、どうしても内省も必要になる。
「風天小畜」…自己の内面・能力と、集団に対する関係、貢献とを省察していく、内省の卦。

含蓄力と理解力は別。大脳皮質での理解という浅い話ではない。脳幹、潜在意識のレベルまで、できるだけ豊富に含蓄させる。
天地人の創造化成というものは、まず含蓄力をできるだけ豊かにすること。

だから、児童教育は文徳を養う(小畜)であるべき。

初9…進もうとして道に従う。
92…道に従って進む。
93…94の陰に阻まれ、自壊、反目の危険あり。歩調が合わない。
64…道を外さず努力。
95…皆と志を合わせ、共栄を図る。
上9…一貫した道義的実践で目的を達成。しかし、満つれば欠ける。進みすぎは良くない。自分の正しさに疑いを持て。

「小」は陰で統一・含蓄を表す。
「大」は陽で発展・分化を表す。 おみくじ→大吉・小吉も吉の大小を意味するのではなく、陽的が良い、陰的が良いということ。中吉は、矛盾を克服して一段進歩向上するがよいということ。つまり、相対的段階にいてはダメという事。





◇8. 水地比(すいちひ)

「地水師」と逆に、衆が親しみ助け合うことを「比」とする。
※比…人が二人並ぶ形から「親しむ」意味。⇆「北」は人が背を向けている形。

95(陽)に、下の衆陰が順っていく象。おおらかで変わらないものでありたい。 形成を見て、後からやってくる者(外様)には警戒を要する。

「比」は陰の常として、私心をもって悪に傾きがちになる。誠を心がけること。

人に限らないが、全て個性があり、その間に陰陽の理法が働く。従って、親近したり疎遠になったり反発したりする。

初6…親しむ。誠実。
62…内心から親睦し、変わらぬよう。
63…小人にたかられて、自ら誤ることを警戒。
64…上の賢人に親しみ、変わらぬよう。
95…堂々と交親すべき。逃げる者は逃し、寛大を示す。
上6…63と正応しない。孤独になることもある。→上9と変われば「風地観」となる→敬虔な態度で衆人の敬意の対象とならなければならない。

互卦は「山地剝」。間違うと混乱したり崩壊したりする。

万物が創造され様々なものが出てくるから、自然に比較される。同時に、生みの親しみもある。





◇7. 地水師(ちすいし)

人は社会的動物たあう側面を持つ。群居性・集団性を持っている。
「師」は多衆。軍隊。軍事・戦争。

地中に水が集まる卦。衆を率いるにはリーダーは一貫して正しくなければならない。

卦の配列は一つ一つバラバラに覚えると、ただの雑学にしかならない。64卦は自然に発展していく過程を追いながら学ぶと、統覚になる。
64卦は渾然たる一つの創造化成。

初6…軍隊には軍律が必須。
92…外国を喜んで山門に下らせる。
63…戦いは利益ではなく犠牲を出す。
64…陣を堅くして不動の態勢を要する。
65…侵略者には軍隊を動員して良い。但し、名実共に備わった大将を得なければダメ。
上6…国家のために正しい意義効用を要する。つまらない者を用いてはならない。





◇6. 天水訟(てんすいしょう)

発達過程に内面的や排他的苦悩は付きもの。そのために行き詰まる。大いに反省警戒して、その問題を克服していけばよい。
いたずらにケリをつけてはいけない。
それでは、正邪得失を見極めずに一時的に解決しようとするから、かえって禍根を残すことになる。
ヤジ経験を積んだ大先輩に教えを受けるのが良い。

「中」とは、真ん中らへんでほどほどに解決するという意味ではなく、対立・矛盾を克服して一段落上に発展すること。

初6…争い事を長引かせてはいけない。初めのうちなら、是非弁別は明らか。
92…私利私欲から権威ある者と争ってはいけない。
63…徳義に生きる。強い自己主張はいけない。
94…争いを続けることは良くない。初心に帰り、態度を改め、自己の正道を失わないように。
95…正道を踏んで立つ。
上9…争い事を克服し、大いに学ぶ所あり。が、そもそも争い事であるから、喜ぶ必要もない。





◇5. 水天需(すいてんじゅ)

剛健な心身をもって、険難を前に待機している卦。
悩みの「屯」から「蒙」になって、そこから様々は要求と待望が始まる。

「屯」…胎児・幼児
「蒙」…児童
「需」…少年

児童期を過ぎて、様々な性能が一斉に発育し、道徳・学問・芸術等の色々な要求に応じて、豊富な教育に浸って心身を潤すべき時期。
食欲旺盛。食べ物も知的好奇心も盛んにしなければならない。精神的要求には豊富に与えること。
ダイジェスト版や不勉強は絶対ダメ。

初9…謙虚。変わらぬ志操習慣を身につけさせる。
92…優悠修養。
93…厄介な問題には敬虔に慎重に対処する。
64…険難。心血を注ぐような苦心努力を要する。初心を忘れず、教えを聴く。
95…修養努力の結果の楽しみ。
上6…問題に深入りして苦しむ。が、修養道徳の度合いに応じて、思わぬ人から助言を受ける。





◇4.山水蒙(さんすいもう)

万物を創造化成していく陰陽の力、そこから生まれ出づる悩み(屯)を受けて、そこから生まれたばかりの初期の状態。
この時代は啓蒙を待っている。特に正を養うことが一義である。

キビキビと実行力をつけ、徳を養わなければならない。不真面目は許さない。
→「君子もって、果行育徳す」。行を果たし、徳を養う。これが子供時代の本質。 実践的・道徳的であるべき。
→理屈と悪習慣を教えてしまうことは最悪。

人格形成の要素
◼︎徳性…ものを包容し育成する力。一番大切なもので、他の3つはこれに付随するもの。
◼︎知性…頭脳の働き
◼︎技術・技能
◼︎習慣

初6…模範を示して躾(しつけ)る。放縦はダメ。
92…切磋琢磨の相手を得させる。
63…誘惑されるような相手を遠ざける。
64…真実の自己を発見しようと悩むもの。
65…純真性を保全して、柔順に教えを受け、正を養い、徳を育てる。
上9…少年教育の究極は鍛錬陶冶。但し、憎んだり痛めつけてはいけない。邪道からは守る。





◇3.水雷屯(すいらいちゅん)

万物を創造化成していく陰陽(乾為天と坤為地)という二つのエネルギーが混沌として、生みの悩み、水雷屯へ。

上卦が水(種々の悩み・障害)、下卦が雷(一陽が動き出すところ)。
屯とは、人間でいうなら生みの悩みを示す。

初9…進みたいが、低姿勢で自重し、大いに民心を得るように。
62…色々問題が起きるが、全て上手くいかない。常に貞正を守り誘惑に流されなければ、時期が来て本道に就ける。
63…案内者無しに進んでは必ず行き詰まる。機を見て止める。
64…初心を忘れない。
95…分を守る。大きく構えてはいけない。
上6…迷い多く、涙が絶えない。が、勝負は速い。

綜卦(上下逆さま)は、次の「4.山水蒙」になる。

互卦をみると、「山地剝」(築き上げてきたものが崩壊する)になる。だから、水雷屯の混沌は、一つ誤るとぶち壊しになって、またゼロに戻ってしまうことがある。

だから、5〜6歳までの幼児教育は大切。
明るさと清潔を好むようにして、敬・恥・孝悌・仁・礼などの道徳教育を。





◇ 2. 坤為地(こんいち)

「1.乾為天」が6爻全て陽であるのな対し、こちらは全て陰。

陽の乾為天と相まって、「分化」していくものを「統一」していくという原理を示したもの。

天に対する地。天(乾)のエネルギーを受け止めて、大地は万物を載せて包容し生成化育する。これが坤為地の本領。

陰陽を調和して、勤勉努力して物事をここから発展させれば良い。

物事は相対する力が混ざり合って、新たな創造変化へと向かう。相対する力に本質的な優劣はなく、矛盾や争いを克服して発展していく。これを「中(ちゅう)」という。
「陰陽中」のサイクルで万物は生々流転する。

例えば、歯と唇(剛と柔)。
歯だけでは食べ物をこぼしてしまうし、唇だけでは噛み切れない。
お互いの役割は違うが、調和して食べ物を口の中で咀嚼し、胃へ運ぶ。
「坤為地」と「乾為天」も同じ。

万物を創造化成していく陰陽相待する力が揃ったところで、いよいよ次は、生成化育の始まり。

「生みの悩み・苦しみ・障害」の卦→3.水雷屯(すいらいちゅん)へ。





◇ 1. 乾為天(けんいてん)

人間の感覚に現れる天を、その本質や作用に即して「乾」と呼ぶ。
乾は健→万物を生成化育して止む事がない。

乾は元→全一、もと、始まりである。
乾は亨→とおる。進行、通達。
乾は利→光り、鋭く、役に立つ。
乾は貞→安定、不変、永久。
※この元・亨・利・貞(げんこうりてい)は乾の四徳。

◼︎「乾は元(おおい)に亨(とお)る。貞(ただしき)に利(よろ)し」。
◼︎「天行は健(すこやか)なり。君子、自彊(じきょう)して息(や)まず」 →天人相関。人間はまず根本的に勤勉努力(自彊)しなければならない。…これが「乾」の根本原則。

→この限りなく自己を創造化成していく人間の努力(乾)の過程を六爻に龍(造化の象徴)を当てはめて解説。

自己修養、謙虚さを忘れず、工夫努力によって飛龍となる。

上9は活動・顕現の極致。しかし、創造は変化である。久しからずして変化する。

上9が変じて上6になれば「43. 澤天夬(たくてんかい)」…勇断可決が必要な卦となる。そして、必ず切り拓かねばならない。

しかし、問題を勇断可決して新たな局面を打開すると、別の力が芽生え、それは当初の目的とは別の方向へ進む。→「44. 天風姤(てんぷうこう)」…出遭うという卦になる。

姤が正しく行く時に、色んな力が集まってくる。独力ではいけない。
必ず配合・協力しなければ(45. 澤地萃)、創造生産にはなりにくい。





易経ノート <易の構成②「伝」>

伝…「経(卦辞、爻辞)」を解釈する文章や、易の全体構造について哲学的把握を試みた文章等。十篇に分かれている(十翼)。

■彖伝(たんでん)(上・下)…「卦辞」についての解説。
※彖は断(決断する)という意味。爻辞に対する卦辞のこと。彖の伝(かいしゃく)という意味で「彖伝」と呼ぶ。

■象伝(しょうでん)(上・下)…「大象」と「小象」に分かれてる。「大象」は卦についての独自の解釈、道徳処世法を説くもので、儒教的色彩で統一されている。中心は「小象」であり「爻辞」の解説。
※象の伝(かいしゃく)。
→「経」の言葉を卦爻の形によって説明するのが「彖伝」「象伝」の一貫した基本姿勢。

■文言伝(ぶんげんでん)…乾卦と坤卦にだけ付いている解説。

■繫辞伝(けいじでん)(上・下)…易学概論。占いの方法、占い関連、世界観、易の象徴的性格の追求、易の成立についての歴史的説明等。易という言葉や陰陽という概念もこの書物から使われる。

■説卦伝(せつかでん)…易の制作に関する言葉、八卦の象を列挙したもの。

■序卦伝(じょかでん)…乾→未済に至るまでの六十四卦の順序を、一卦ずつ順を追って理由付けたもの。後付け。

■雑卦伝(ざつかでん)…六十四卦のそれぞれについての簡単な説明。その順序は「易」の順序とは異なる。二卦ずつの組合せで反対の意味を活かして説くところに特色がある。



易経ノート <易の構成①「経」>

易は、「八卦」を基礎とした「六十四卦」で構成。その「六十四卦」とその卦を作る「三百八十四爻」についての説明である「卦辞(彖辞)」「爻辞(象辞)」があり、それらを「経」と言う。

「経」は上下篇に分かれ、占いの判断はそれに従って行われる。

しかし、「経」は難解であるため、それを解説する「伝」が作られた。
それが「彖伝 上下篇」「象伝 上下篇」「文言伝」である。
更に、易全体の考察を様々な角度から試みた「繫辞伝 上下篇」と、卦の象を説いた「説卦伝」、六十四卦の順序を説明した「序卦伝」、六十四卦の卦名の意味を説いた「雑卦伝」があり、十篇の伝、すなわち「十翼」が揃うことになる。

■八卦(はっけ)…陰陽の符号3本の組合せで得られる8通りの変化。卦としての意味(象)が生まれ、六十四卦の基礎となる。 →八卦の意味(象)の詳細は「説卦伝(せつかでん)」に書かれている。

■六十四卦(ろくじゅうよんか)…八卦の二乗(二つの組合せ)で全体の構成となる(重卦(ちょうか))。
→六十四卦の順序の意味を記したものが「序卦伝(じょかでん)」に書かれている。
→それぞれの卦についての説明は「卦辞(かじ)」(一つの卦のその全体の形についての解釈の言葉。全六十四条)に書かれている。
→「卦辞」を解釈したものが「彖伝(たんでん)」と「象伝(しょうでん)」の中の「大象」に書かれている。

■三百八十四爻(さんびゃくはちじゅうよんこう)…六十四卦の六画になった時、その六本の一本一本を「爻」と呼ぶ。易全体では六十四卦×6倍=384爻。
→それぞれの爻についての説明は「爻辞(こうじ)」(一つの卦を構成する六爻の一つ一つについての解釈の言葉。乾と坤の卦には特別にその六爻をまとめた一条が加わる。全386条)に書かれている。
→「爻辞」の解説は「象伝」に書かれている。

※「象」は天下の万物を象徴したもの。静的。
「爻」は天下の万物の変動を模写したもの。動的。
※六十四卦の説明である「卦辞」と、三百八十四爻の説明である「爻辞」が、易の書の中心となる「経(けい)」である。
→経は上経(三十卦)と下経(三十四卦)に分かれる。



◇易経ノート <易経を学ぶ(4)下経 キーワード>

下経(34)

31. 澤山咸…感応、夫婦の道
32. 雷風恒…恒久性、恒常性
33. 天山遯…退避、隠遁
34. 雷天大壮…大きなものの隆盛
35. 火地晋…進む
36. 地火明夷…傷ついた太陽、韜晦すべき時
37. 風火家人…家庭の道徳
38. 火澤睽…背き合う時
39. 水山蹇…足萎え、進みにくい時
40. 雷水解…困難が解ける
41. 山澤損…減らす
42. 風雷益…増やす
43. 澤天夬…押し切る、決断
44. 天風姤…遭う
45. 澤地萃…集まる
46. 地風升…上昇
47. 澤水困…くるしむ
48. 水風井…井戸、賢人を養う
49. 澤火革…変革、革命
50. 火風鼎…かなえ、賢者を養う
51. 震為雷…地震、雷、戒懼の時
52. 艮為山…止まる
53. 風山漸…すすむ
54. 雷澤帰妹…結婚
55. 雷火豊…盛大の時
56. 火山旅…旅に出る時
57. 巽為風…入る、謙遜
58. 兌為澤…悦ぶ、悦ばす
59. 風水渙…離散、離散を合わす
60. 水澤節…止まる、節約
61. 風澤中孚…中なる、まこと
62. 雷山小過…小事に於ける行き過ぎ
63. 水火既済…完成
64. 火水未済…未完成



◇易経ノート <易経を学ぶ(3)上経 キーワード>

上経(30)

1. 乾為天…偉大な天、君たるの道
2. 坤為地…地の包容性、臣下の道
3. 水雷屯…芽生え、盈ちる、生みの困難
4. 山水蒙…愚かな者、啓蒙、教育
5. 水天需…躊躇、期待
6. 天水訟…争論、訴訟
7. 地水師…軍隊、戦争
8. 水地比…人と親しむ法
9. 風天小畜…小さな停止、小さな蓄積
10. 天澤履…足で踏む、履み行う
11. 地天泰…通ずる、泰平の時
12. 天地否…塞がる、暗黒時代
13. 天火同人…人を集める、人との同調
14. 火天大有…大なる所有
15. 地山謙…謙遜の徳
16. 雷地豫…よろこび、たのしみの時
17. 澤雷随…したがう、したがわす
18. 山風蠱…腐敗、腐敗を建直す事業
19. 地澤臨…迫り臨む
20. 風地観…見る、示す
21. 火雷噬嗑…噛む、刑罰
22. 山火賁…装飾
23. 山地剥…剥落、浸蝕
24. 地雷復…一陽来復、復帰
25. 天雷无妄…偽りなき道、理、望外の結果
26. 山天大畜…大きな停止、大きな蓄積
27. 山雷頤…口、養う
28. 澤風大過…大きな過度
29. 坎為水…落とし穴、重なる険難
30. 離為火…附く、続いて昇る太陽



◇易経ノート <易経を学ぶ(2)下経 ストーリー>

下経 ストーリー1.
◼︎31.陰陽感応の理。人間でいえば恋愛→32.普遍性・安定性をもって具体的に様々なものを建設する。人間でいえば結婚・家庭→33.一定の形態にとどまると身動きが取れなくなる。解脱していくことが必要→34.様々な問題が生じてくるが、それぞれに道義がある。解決に礼を失してはいけない→35.次第に進歩発展してゆく→36.不遇・失敗もある。ここは逃げてはいけない。人前には出ず、世の中をよく観察するだけの叡智を持つこと→37.また、そんな時は家庭、友人、同志を集め苦楽を共にす。貧苦の中に美しい家族生活を営む→38.半目、利害衝突、愛憎等うまくいかないことが起こる。大問題でいがみ合うのはよくないが、小事でのトラブルは悪くない→39.アンバランスにより物事が上手くいかなくなる。不和と難境→40.各々反省して、私利私欲を抑え、協力していく→41.高い理想のためには自分を抑え統制していく。損することで活力を養う→

下経 ストーリー2.
◼︎42.克己修養で自分も他人も益してくると、人間は公明正大・無私無欲になり、人に優しくな。善政が布けるようになる→43.自己を修めることからスタートし、影響力を広げていく。その過程で起こる諸問題は勇断果決し新天地を切り拓いていく→44.新しい局面を打開すると、思いもしなかった別の力が芽生える(遭う)。しかもそれは当初の目的とは当初の違う方向へ進む。急速に悪化する例が少なくない。しかし、独力ではダメ。相遭って初めてあらゆるものが生まれる→45.組み合わせるために、優れた人物を選び出す。しかし、予期しない侵害への警戒を怠らなければ、→46.仕事、事業がぐんぐん進歩向上していく→47.進歩したら、また厄介な問題が起きるが、全ては必然。絶対的なものを究明してどこまでも理想(目的)を追求していく→48.新たな困窮に直面したら、自己反省と修養に徹していく。その機会を通じて自己を深め、渾々と尽きざるエネルギーを組み上げる真我に到達する→

下経 ストーリー3.
◼︎49.そこまで艱難辛苦と闘って自分を掘り下げ、自己革命ができて初めて革命ができる→50.革命は積極的行動であり、非常な宣伝要する。そして人の因習打破しなければならない→51.いかなる革命も無事に済むものはない。とんでもない問題・異変が起きる。ことに当たっては、それを恐れ慎み、一層徳を積み反省すべし→52.異変の処理には、私心のない無欲の働きと、足るを知り、止まるをしる泰然自若とした叡智が必要。軽挙妄動は言語道断→53.そうしてようやく正しく堅実な進歩が行われる。徳を積み周囲を感化していく→54.そういう進歩のためには、やはり独力ではいかない。新たな力同士の結合が必要。人間同士の結合は、誠、自然、永く変わらず終わりを全うできるものでなくてはならない→55.新たな結びつきから豊かになり、様々なことが起こる。その豊かさを受け取るには無私無欲、謙虚でなければいけない→

下経 ストーリー4.
◼︎56.そうでないと思いがけない変化変転が始まる。新たな旅立ち。外遊→57.ここで新たな問題が起こると、仲違いしやすい。我を持たず、先輩や賢者よ教えを受ける→58.大事なことは、人々がいかに親睦し切磋琢磨していくか。お互いに益し合うようにすることが大切→59.切磋琢磨と親睦により問題はサラリと解決できる。お互いに四方へ散って大業を成す→60.難局にあっては、その締め括りが最も大切。放縦ではダメ。謙虚な節制が全てにおいて大切→61.そうして「誠」を心に持つことで進歩発展(造化)の力が生まれる→62.そういう「誠」の人間活動の原則は、「分を守り足るを知る」こと。やや控え目であること→63.この実践により、有終の美を飾ることができる。しかし、常に安心しきることなく患害の予防に努めること→64.従って、どこまでも行っても未完成であり、物事は無限に循環していき、新たな創造へと進む。



◇易経ノート <易経を学ぶ(1)上経 ストーリー>

1. 易の六義 / 歴史 / 造化・想像化成
2. 太極、両義、四象、八卦
3. 易の専門用語 / 文献紹介
4. 上経30卦・下経34卦(ストーリー、流れ、暗記)、384爻の知識集積、変化
5. 応用

上経 ストーリー1.(個人)
◼︎①②無限で渾然たる創造化成(分化・発展、統一・調和)→③創造。地の中に根を下ろして、これから芽を出そうとしている時。生みの悩み→④生まれたばかり。混沌の自我からの実践的道徳的教育→⑤子供の様々な要求・待望に対して十分に潤す→⑥創造の発達に伴う矛盾や争いと、その克服→⑦集団・リーダーが出てくる→⑧生みの親しみ。個性により親近したり反発したりする→⑨少年には様々な学問・教義で内容・内心を蓄えさせる→⑩蓄えたものを勇気を持って冒険という実践・実行で経験を積む→11.色々なことが分かり、落ち着いて安定し豊かになってくる→12.驕りが出て理を外し、行き詰まる。

上経 ストーリー2.(社会化) ◼︎13.気の合う同志が自然と集まる→14.個人では持ち得ない大きな勢力ができる→15.傲慢、我儘になるが謙遜でなければいけない→16.謙遜であってはじめて様々に結ばれ、色々な生産活動を起こす強大な予備力になる→17.力を蓄えたところに人が付き従ってくる→18.様々な人が集まり、思いがけない難問題が起こる→19.難問をよく処理して実力を一段上げ、新たな舞台が開ける→20.多くの人がその立派さを見る。慎む姿勢の後ろに光が表れてくる→21.それに伴い、また悩みが起こるから、それをよく消化して処理する→22.個人的にも教養を積み、世間の尊敬・信望も出てくる。淡々とできず驕ると→23.築き上げたものは剥落・崩壊する。

上経 ストーリー3.(回復) ◼︎24.行き詰まったり、崩壊したりしたら、復活。復活は身を修めるところからはじめる→25.復興は真実であり自然、正義でなければならない。虫のいい人間の思惑通りにはいかない→26.より大きな可能性、能力を蓄えなければならない→27.自らの徳と身体を養う(言語と飲食を慎む)→28.大きな難儀に直面して、いかに耐え忍ぶか。毅然として正義を堅持し、独立して恐れず、俗世を逃れ澄然としておく→29.(道徳・意思)人間は大いに元に帰り、修業しなければならない→30.(社会・理性)教養、知識、技術で社会を照らし貢献していく。



◇ 易経入門9••••••
<下経三十四卦>4
26. 火山旅(かざんりょ)…外遊。新たな旅、問題、生活、行動。停滞させない。
27. 𢁉為風・重𢁉・随風𢁉(そんいふう・ちょうそん・ずいふうそん)…新たな旅、問題に対しては、我を持たず、先輩や賢者の教えを受けに行く。旅で様々な苦労をして初めて謙虚になり、順うことができるようになる。無心になって物事に徹していく。しかし、常に反目の傾向を含む。
28. 兌為澤・麗澤兌(だいたく・りたくだ)…しかし大事な事は、親睦・講習。人と相和楽し、切磋琢磨していくこと。互いに益し合うようにする。
29. 風水渙(ふうすいかん)…修行と人々との結びつきにより、様々な問題を解決していくことができる。各々四方に散って大業を成す。
30. 水澤節(すいたくせつ)…難局にあっては最も締めくくりを要する。放縦ではだめ。謙虚な節制。溢れぬよう、枯れぬよう調節する。節度。
31. 風澤中孚(ふうたくちゅうふ)…卵がかえる。物事が新たに展開する。創造の力。造化。
32. 雷山小過(らいざんしょうか)…分を守り足るを知る。やや陰。やや反省する。やや含蓄する。
33. 水火既済(すいかきせい)…有終の美。如何に終わりをあらしめるか。火に水をかけて火を消す→新たな創造の一段階。安心しきることのないように。
34. 火水未済(かすいびせい)…無終の美。無限の未来、創造。未完成。力を量って慎重にいくこと。新たな「咸」を体することであり、「乾」を始めること。限りなく循環していく。無始無終。無限の循環は尽きることがない。これが大易。

易は、六十四卦・三百八十四爻を通じて、生生の道を尽くしたもの。易はどこまでも限りなき創造変化、天地万物を開いて、それを人間に役立てる。行き詰らせることなく、無限に人生を化成ならしめる。
人間に対する深い愛情、これを受け止めて人生を大きく豊かに生きていく。



◇ 易経入門8••••••
<下経三十四卦>3
19. 澤火革(たくかかく)…修養・叡智・明徳を養って初めて革することができる。破壊。お膳立て。
20. 火風鼎(かふうてい)…建設。自我を掘り下げて真我に徹し、そこから立ち上がって困難な環境を打開して、新しい革命をやる。
21. 震為雷・洊雷(しんいらい・せんらい)…いかなる革命もとんでもない問題が起こる。→事に当たっては、恐れ慎み、いっそう徳を修める、反省するようにとの戒め。
22. 艮為山・謙山艮(ごんいざん・けんざんごん)…動の反対。止。無心の働きと、足るを知り、止まるを知る叡智が必要。あらぬ欲望や野心に駆られて軽挙妄動はダメ。
23. 風山漸(ふうさんぜん)…堅実で新たな進歩。徳を積み、周囲を感化していく。
24. 雷澤帰妹(らいたくきまい)…女性が嫁ぐ。新たな結びつきと、それを如何に全うするか。人間の結合はあくまでも誠実で、自然で、永く変わらぬもの、終わりを全うできるものでなければならない。しかし、往々にして、政略的、私利私欲からの結合になる。
25. 雷火豊(らいかほう)…嫁げはひとりの時より豊かになる。従ってそれだけ多事になる。豊を受けるには、無私無欲、謙虚でなければならない。



◇ 易経入門7••••••
<下経三十四卦>2
13. 澤天夬(たくてんかい)…勇断可決。ところが、問題を勇断可決して新しい局面を打開すると別の力が芽生えて、当初とは違う方向へ進む。
14. 天風姤(てんぷうこう)…遭遇(咸の互卦)。これから勢いを伸ばしていく。独力ではいけない。融合組み合わせが必要。女に注意。
15. 澤地萃(たくちすい)…集まる。恩人・祖先・先輩に感謝。如何に組み合わせてよいものにするか。予期しない侵害に対する警戒。
16. 地風升(ちふうしょう)…進歩向上。登ったら、また新しい困難を必ず生じさせる。
17. 澤水困(たくすいこん)…困難。澤が枯れる。自分には必然、絶対的なものは何かを究明し、どこまでも目的を遂行していく。
18. 水風井(すいふうせい)…困窮に直面したら、自己を掘り下げる。渾々と尽きる事ないエネルギーを汲み上げることのできる真我に到達する。人々やその生活に役立つことができるもの。自己革命。



◇ 易経入門6••••••
<下経三十四卦>1
1. 澤山咸(たくざんかん)…陰陽感応の理。恋愛、感応の卦。
2. 雷風恒(らいふうこう)…恒常性、定着性→建設。結婚の卦。その恒するところを見れば、天地万物の情が分かる。変節はダメ。延びることはある。
3. 天山遯(てんざんとん)…解脱。逃げる。愛するが溺れない。厳然たる自主・創造・独立を持つ。壺中の天。
4. 雷天大壮(らいてんたいそう)…いろいろな物事をどう処理していくか。自由はいいが我儘はダメ。独自と分際をわきまえる。
5. 火地晋(かちしん)…進歩・発展の道。従順に明に従っていく。
6. 地火明夷(ちかめいい)…不遇、失敗。逃げてはいけない。見捨ててはいけない。人前に出ず、世の中をよく観察する叡智・明を持つ。
7. 風火家人(ふうかかじん)…家庭生活。親愛の道。親しい者を集めなければならない。言う事はきちんとしていて、行いは恒。
8. 火澤睽(かたくけい)…にらみ合い。利害の衝突、愛憎。元来は天地万物みな矛盾するところがあり、そのままに大同疎通する。大問題にいがみ合うのはダメだが、小事には吉。
9. 水山蹇(すいざんけん)…不和と難境、行き悩み。→わが身に返って徳を修める。
10. 雷水解(らいすいかい)…問題解決。アンバランスが生じたら、私利私欲を抑えていくしかない。過失を赦し、罪を赦しておおらかにいく。
11. 山澤損(さんたくそん)…克己・統制・修養。損をする事で力が出てくる。理想の為に、低い情欲を犠牲にする。
12. 風雷益(ふうらいえき)…克己修養で自他共に益してくると、公明正大・無私無欲になる。生活が発展する。克己修養して初めて自由博愛に行ける。自己を修めるのを忘れて、世界た人類だというのは誤魔化し。「地天泰」「天地否」と相応。



◇ 易経入門5••••••
<上経三十卦>3
23. 山地剥(さんちはく)…築き上げたものが剥落する。地盤が大切。
24. 地雷復(ちらいふく)…やり直し。復興には誤魔化しがあってはならない。自然の理に外れてはならない。
25. 天雷无妄(てんらいむぼう)…自然の運行。虫のいい人間の思惑通りにはいかない。
26. 山天大畜(さんてんたいちく)あ…陰徳・陽徳を大いに養って動じない。
27. 山雷頣(さんらいい)…自らの体と徳を養う。言語と飲食は節する。
28. 澤風大過(たくふうたいか)…自ら養いながら、大きな難儀に如何に耐え忍んでいくか。
29. 坎為水・習坎(かんいすい・しゅうかん)…艱難辛苦を処理していく意志。大いに元に帰って反省して、修行を重ねていく。
30. 離為火・重明(りいか・ちょうめい)…理性はあくまで正につくほど知は明らかになり、天下を化成して四方を照らす。

易を学ぶと萎縮も思い上がりもできなくなる。易を知らないと、成功したらそれっきり。失敗してもそれっきり、になることが多い。
ところが、易を学ぶと縦横自在・円転滑脱・窮することなく、慢心することもない。
人間の存在・行動・治乱興亡・文明と野蛮等の事象が原理的に集約され、理路整然と組織されている。 ある意味恐ろしい…。



◇ 易経入門4••••••
<上経三十卦>2
易を学ぶと、萎縮したり思い上がったりできなくなる。
まずは、卦の名前と形を覚える。

13. 天火同人(てんかどうじん)…同志の集結。階級を設けず、広く天下に人材を求める。
14. 火天大有(かてんたいゆう)…勢力培養。道徳主義。
15. 地山謙(ちざんけん)…謙遜。地中の山。
16. 雷地予(らいちよ)…予め準備。怠る。自信ができ楽しめる。
17. 澤雷随(たくらいずい)…順応。人が従ってくる。休憩。
18. 山風蠱(さんぷうこ)…虫喰い。内外から問題生じる。
19. 地澤臨(ちたくりん)…難問処理。新たな世界が開ける。
20. 風地観(ふうちかん)…処理が上手いと、立派に世に立てる。国民強化。自戒。
21. 火雷噬嗑(からいぜいこう)…問題をよく噛み砕いて消化。
22. 山火賁(さんかひ)…窮地打開で信望が出てくる。



◇ 易経入門3••••••
<上経三十卦>1 ※本卦のみ。 ※互卦、綜卦、錯卦、之卦等の変化、各爻の対応等については講義にて。卦辞、爻辞にはまだ触れない。

1. 乾為天(けんいてん)…陽。天行健、君子自彊不息。
2. 坤為地(こんいち)…地。載、従順。
3. 水雷屯(すいらいちゅん)…生みの悩み。優、丁寧、正確。
4. 山水蒙(さんすいもう)…とにかく実践。キビキビ。
5. 天水需(てんすいじゅ)…潤す。求めに応える。
6. 水天訟(すいてんしょう)…争い。対立。自己反省→中
7. 地水師(ちすいし)…群れ。リーダー。一貫した正しさ。
8. 水地比(すいちひ)…類友、派閥。比べる。考察。
9. 風天小畜(ふうてんしょうちく)…内省。含蓄力を豊かに。
10. 天澤履(てんたくり)…新たな実践活動。冒険。
11. 地天泰(ちてんたい)…発展の安全原則。
12. 天地否(てんちひ)…行き詰まり。



◇ 易経入門2••••••
<陰陽>
・陰…統一、潜蔵、調和
・陽…分化、発展、成長
・中…陰陽相まって一段上へ発展
・循環→創造、変化、生成化育

※参考文献→「中庸」「老子」

・時流、時中
※「兆し」を見つける→観察力。例)南北相法

<自然観>
千変万化に変化する事象と、その変化を支える不変の性質。
・太極
・両儀(2)…陰陽
・四象(4)…老陽、少陽、少陰、老陰
・八卦(8)…天(乾)、澤(兌)、火(離)、雷(震)、風(巽)、水(坎)、山(艮)、地(坤)
・六十四卦…乾為天、坤為地、水雷屯…

・卦爻…初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻
・三才…天、人、地
・爻位…正不正(安定=無活動)、陽爻(9)、陰爻(6)
・応、比、承、乗、拠
・本卦、互卦、綜卦、錯卦、之卦
・筮法…弓を引くのと同じ、精神集中



◇ 易経入門1••••••
「易」とは、世界や人間の営みを造化の働きに基づいて、新たに創造していくことができるという理法を説いたもの。
→天地・人生を貫く創造的変化・成長・進化の機微を学ぶ学問。
→自然、世間、人間の生成化育に精通し、日々の中の微かな兆(きざ)しに接し、無限の過去を省みて、無限の未来を洞察し、機に乗じながら千変万化に自身を作り上げていく学問。

※易は「人間の運命を説く」という限定したものではない。
従って、易を学ぶと絶望や放棄ということがない。学べば学ぶほど、創造的になる。そもそも、私たちの命とは、とても創造的なもの。

→易学とは、不変性を明らかにしていくのではなく、どこまでも創造的に新しく成長していく学問。 つまり、「いかに変えていくか」「自分で自分の存在や運命、人生をいかに作り上げていくか」という学問。 従って、何より主体性・自律性が大切。他律的になると、「創造」ではなく「逃れる」という考えになってしまう。
FEG綱領にあるように、どこまでも「自力主体」を忘れずに!!

<易の六義>
・変易(変化)→事象は全て変化していく
・不易(不変)→あらゆる変化には一定(不変)の法則がある
・易簡(簡易)→疑惑も工作も許されない自然なものという意味のシンプルさを含んでいる。日常に応用させる事は簡易である。
→ここまでは「易の三義」。
・神秘→感覚を超越した神秘的なもの
・発展→天地万物の創造・進化
・治める→以上の原理に基づいて、人間の思想・生活を修め、整えていく

従って、天地の徳を受けた人間の人生は、変化極まりない中に、終始一貫した永続性を持っている。
これが「道徳」。

※参考文献→「中庸」と「老子」。
この2冊を始終併せて読むと、得るところが大きい。

陰陽の相対性により物事の成長が進むが、この成長・発展を「中(ちゅう)」と言う。
→易とは、「陰・陽・中」の理法である。この原理を理解しながら進めないと、雑学になってしまう。易はどこまでも創造的・具体的でなけらばならない。